IT資産の棚卸とは。実施する目的と、時間短縮方法を紹介!

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棚卸とは、決算や毎月の損益計算などのため企業が保有する資産(商品や備品など)の種類・数量を調査し、価値を評価すること、またその行為自体のことを指します。多くの場合、年に1~2回、半期末や期末にあたる3月・9月・12月に実施されます。

この棚卸の対象には、社員が利用しているPCやサーバー、ネットワーク機器といったハードウェア資産・ソフトウェア資産などのIT資産も含まれます。もし、所在のわからないIT資産があったとすれば、企業として期待している役割を果たせないだけではなく、企業全体の資産計上に影響を及ぼします。そのため、IT資産についても定期的に棚卸を実施し、状態や費用を把握することが必要です。

しかしながら、実際にそれらのIT資産の棚卸を実施する場合、そもそも誰にどの機器を渡しているかなどを記載した台帳がない・台帳はあるが現物の所在がわからない・ソフトウェアのインストール状況まで把握できないといった問題があります。状況を把握していないと、ソフトウェアライセンスの利用規約を違反してしまったり、セキュリティホールを見逃してしまうことによって情報漏洩が起こるリスクにもつながってしまいます。

今回は、そのようなリスクを低減するために、IT資産を効率的に棚卸する方法、実施するメリットなどをご紹介していきます。

IT資産管理の棚卸とは?目的と重要性

IT資産の棚卸では、PCなどの現物だけでなく、ソフトウェアのバージョンやライセンスを管理することも求められます。IT資産の棚卸はどのような目的でおこなわれるのか、またその重要性について紹介します。

資産活用の最適化

組織が保有するすべてのIT資産を、定期的な棚卸なしに把握することは困難です。誰がどのPCを使っているのかわからない状況では、「使っていないPCがあるにもかかわらず、新しいPCを購入してしまった」ということもあるでしょう。

定期的なIT資産の棚卸をおこない、保有するIT資産を有効に活用することは、無駄な運用コストの発生を防ぎます。

セキュリティ体制の整備

IT資産の棚卸は、セキュリティ体制の整備にも有効です。どこにどれだけのIT資産があるか整理されていない状況では、せっかくセキュリティ対策をおこなっても、管理の漏れた資産から攻撃を受けてしまいます。管理すべき資産をすべて把握してはじめて、十分なセキュリティ対策をおこなえるのです。

セキュリティの観点では、OSやソフトウェアのバージョンを管理することも重要です。脆弱性のある古いバージョンのOSやソフトウェアを使用していると、その脆弱性を狙ったウィルスの攻撃を受けやすくなります。また開発ベンダーのサポート対象外となり、安全にサービスが受けられなくなる可能性も考えられます。

組織内にあるIT資産の所在を整理し、更新状況を漏れなく管理することで、セキュリティリスクを最小限に抑えましょう。

ソフトウェアライセンスの管理

ソフトウェアの使用に際しては、組織の保有するライセンス数に基づいた適切な管理が求められます。どのPCにどのライセンスが使われているかわからない状況では、保有数を超えたライセンスを消費してしまう「ライセンス違反」が発生し、著作権侵害の対象となる恐れがあります。

ソフトウェアのライセンスを棚卸により管理することは、企業のコンプライアンス遵守に欠かせない取り組みと言えるでしょう。

IT資産の棚卸「3ステップ」

1. 正確な台帳の作成

IT資産の棚卸は、固定資産などと同様に正確な台帳を作成することが第一歩です。例えば、台帳上では存在しているはずのPCやサーバー、ネットワーク機器といったハードウェア資産が、実際には見当たらないと、帳簿上の資産金額と実際の資産金額に相違が発生し、無駄な税金を支払ってしまうといった危険性があります。

また、リース資産については、期限管理や再契約などの情報を把握できていないと、手続きの漏れや不要なリース契約の継続によるコスト負担が発生する恐れがあります。
まずは、ハードウェア資産の調達数や渡し先の部署・担当者を明らかにし、調達元や契約内容などの情報も含めて正確な台帳を作成していきましょう。

2. ソフトウェアライセンスの棚卸

正確な台帳の作成・ハードウェア資産の把握を終えたら、ソフトウェアライセンスについても棚卸していきましょう。正確な棚卸をおこなうためには、どのソフトウェアをどのような契約で調達しているか、何ライセンス保有していて、どのPCにライセンスが割り当てられているのかといった詳細な内容を把握し台帳化する必要があります。

ソフトウェアライセンスの棚卸は非常に負荷のかかる作業ですが、不要なライセンス契約の見直しによるコスト削減や不正使用によるライセンス違反を防止できるなど、財務・コンプライアンスの両面で得られるものも大きいです。

3. 台帳と現物の突合

棚卸業務では、上記のステップで作成した台帳上の機器やソフトウェアが、実際に存在するかどうかを定期的に確認する必要があります。突合作業の一般的な方法としては、機器に資産管理番号を記載したシールなどを貼り付け、台帳と一致しているか目視によるチェックを実施するといったものがあげられます。
また、機器に貼付したバーコードやICタグをリーダーで読み取り、システム上で突合作業がおこなえる棚卸システムを利用するケースも増えてきています。

IT資産の棚卸を実施するメリット

IT資産の棚卸を実施することは、財務上の整合性をとり無駄なコスト負担を回避できることはもちろん、定期的に機器の状況を把握することで、機器が無断で持ち出されていないか・紛失していないかの確認や、遊休資産を有効活用できるといったメリットがあります。
また、あわせてインストールされているOSやセキュリティパッチの適用状況などの詳細情報も把握することで脆弱性対策につながるなど、セキュリティ面でも大きな効果を発揮します。

さらに、ソフトウェアライセンスの使用状況を正確に管理できていないと、不正コピーなどの違反が発覚した場合に刑事罰の対象となったり、メーカーから損害賠償を請求される可能性が生じるなど、多大なリスクを抱えることになります。ソフトウェアライセンスの棚卸をおこなうことで、このようなリスクを回避し、コスト最適化につなげられます。

【主なメリット】
・無駄なコスト負担の回避
・IT資産の紛失、盗難チェック
・遊休資産の有効活用
・セキュリティホールの発見
・ソフトウェアライセンス利用違反の防止

棚卸を早く終わらせるためには

IT資産の棚卸は、対象となる機器が多ければ多いほど多大な工数を要します。特にソウトウェアライセンスの棚卸において、社内のPCを1台1台調べて確認することは非現実的です。

そこで、IT資産の棚卸を早く終わらせるためには「IT資産管理ツール」の導入がポイントになります。 IT資産管理ツールを用いることで、社内のPCやサーバーといったIT機器のハードウェア情報やインストールされているソフトフェア情報を自動収集し、台帳の作成から現物確認までをスムーズにおこなえます。

IT資産管理ツールを活用することで、下記のように棚卸を効率化できます。
※画像はIT資産管理ソフトSS1のサンプルイメージです

ハードウェア資産の台帳化

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社内のPCやサーバーといったIT機器の設置場所や、最終ログオンユーザー、最終Ping応答日時といった情報を一覧で確認できます。 各機器に関する最新の詳細情報を自動で収集できるため、正確な状況把握はもちろん、現物の確認をおこなう際の元となる台帳としても有効活用できます。

ソフトウェア資産の台帳化

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PC1台1台を調べることなく、インストールされているソフトウェア情報も自動で収集し、正確なソフトウェアライセンス台帳の作成に役立てられます。 同様にセキュリティパッチの適用状況なども把握でき、セキュリティ対策にも活かせます。

リースやレンタル・保守などの契約内容、IT資産の予算管理

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ツールによっては、リースやレンタル・保守といった契約情報の詳細な登録も可能で、契約に紐付けられる機器の情報とあわせて管理できます。 契約期間や支払い内容の詳細確認、部門ごとの予算管理など、幅広く活用できます。

まとめ

IT資産の棚卸には多大な時間がかかる、と諦めていませんか? 効率的に棚卸をおこなうには、IT資産の管理方法の見直しが欠かせません。時間短縮のために、ぜひIT資産管理ツールを活用しましょう。IT資産管理ソフトSS1は、充実したIT資産管理機能に加え、固定資産棚卸ツールとの連携実績も豊富です。IT資産の棚卸にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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著者プロフィール
SS1LAB編集部
IT資産管理ツールSS1/SS1クラウドを開発・販売している、株式会社ディー・オー・エスの営業企画部メンバーで構成されています。IT資産管理・ログ管理・情報セキュリティ対策など、情シス業務の効率化に役立つ最新トレンド情報を随時発信中!

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